MATAGIプロジェクト

MATAGIプロジェクト

獣皮を獣革にして
産地に還します

MATAGIプロジェクトでは、お預かりした獣皮を靴やバッグなどに使えるように獣革=皮革素材にして、ご依頼者(産地)に還します。

2023年度獣害対策による駆除頭数  1,244,700頭
MATAGIなめし加工数:2,011枚 活用率:0.016%
*参照:環境省「二ホンジカ・イノシシ捕獲頭数速報値」、一般社団法人やさしい革 調べ

人と自然と地球に“やさしい革”が
生まれます

皮は鞣(なめ)すことで革になりますが、当プロジェクトでは皮革素材や商品になった時にも安全で安心なラセッテーなめし製法(植物タンニンを主成分とする山口産業の独自技術)のみを採用し、作る人にも使う人にも、自然や地球にも“やさしい革”にします。

日本全国で野生動物による農作物や人間への被害報告が後を絶ちません。国では鳥獣保護法を改定し有害駆除期を設けて、獣害削減と生態系バランスの保全策を講じました。しかし、人間社会の都合で駆除しなければならないため猟師や地域住民の中には頂く命の尊厳を守るべきとの声もあります。
そこで、2008年から駆除した猪や鹿の原皮(剥いだままの毛の付いた生の状態)を預かり、革素材にして還すMATAGIプロジェクト活動を開始しました。その後、2013年に実行委員会化をして、獣革利活用の情報発信や講座、販売会支援など活動の幅を広げています。
2020年、当プロジェクトの活用産地は全国400カ所に拡大し、年間約3,000枚の獣皮が有効利用されています。しかし実際には年間約100万頭も駆除されており、更に皮革素材の活用推進を実施しなければなりません。私たちは「頂いた命の皮を最後の1枚まで大切に使い切ること」を目指して活動を継続します。

獣皮を地域の有効資源に!

~ MATAGIプロジェクト誕生の背景 ~

獣害対策として駆除されたシカやイノシシ、趣味程度の活用以外はその肉や皮はほとんど利用されることなく捨てられてきました。
たとえば獣肉を流通させるには、管理された衛生的な施設で速やかやに精肉する必要があるだけでなく、販路の開拓や地域ぐるみの取り組みが不可欠になるからです。そのような中、ジビエ肉活用をサポートする活動により、こうした問題を克服し、野生動物との共生を考えながら獣害対策を行い、獣肉を地域活性化に役立てようとする企業や自治体が徐々に増えてきました。
一方、獣皮をサイフやバッグの素材として販売するには、大きな問題がありました。獣皮は先ず“なめし”を行う必要があります。なめし「鞣し」とは、読んで字のごとく革を柔らかくすることで、そのままでは腐ってしまう皮を「革」に変えるためには、化製場許可を得た専門のなめし工場に協力をしてもらうしかありません。
しかし狩猟による獣皮は、従来の畜産による豚皮や牛皮をなめすようにはいきません。皮を剥ぐ際のナイフ傷があったり、余分な脂や肉片が付着していたり、四肢や尻尾・頭部の処理品質がバラバラで、なめす以前の原皮の下処理に問題があったからです(大量に計画生産される畜産動物の原皮の場合は、食肉加工所を経て排出された原皮を引き取り余分な脂を処理する専門業者がいます)。また、完成したシカやイノシシの革は、野生のキズや個体差による品質上の問題、駆除した時にしか供給されないという供給安定性の問題などから、継続的な需要に結び付けることが困難な状況でした。

そのような折、「獣皮をなんとか活用できないか」という産地からの相談を受け、2008年から獣皮のなめし支援を開始したのが、なめしを生業とする東京・墨田区の山口産業です。しかし全国に向けた情報提供や、製品化・流通や販売促進などに関する問題の数々は、同社だけで解決できるものではありませんでした。そこでなめし工場の山口産業株式会社が企画立案から運営までを自社で担い、周囲の企業や団体に協力を呼びかけるために立ち上げたのが「MATAGIプロジェクト」です。

日本全国、
誰でも参加できるプロジェクトへ

獣革を一般に流通させるのが難しいなら、まずは産地の独自ブランドとして活用してもらおう──。MATAGIプロジェクトはこのように発想の転換をしました。そして、獣皮活用による地域活性を支援する「実行委員会」(企業や学校、NPO団体など)が、「産地」(市町村ごとの自治会、猟友会、民間企業、行政など)をサポートする仕組みをつくり、現在では、獣皮活用のさまざまな取り組みが全国に始まっています。

MATAGIプロジェクトが選ばれる理由①

MATAGIプロジェクトでは1枚から獣皮を預かり、
靴やバッグなど実用的に使用できる獣革づくりを実現します

  1. 獣革として依頼者(産地)のお手元に返すシステムが出来ています。
  2. お手元に届いた獣革は靴やバッグ、インテリア雑貨など通常の牛革や豚革同様に使用頂けます。
  3. 獣革産地からメーカーやブランドに革素材として販売する(販路や価格等は各自で決定)ことも可能なため、収益事業として継続的に取り組むことも実現できます。

MATAGIプロジェクトが選ばれる理由②

人と自然にやさしく、Made in Japanとして
世界に誇る獣革になります

皮を革とする鞣し(なめし)方法は、比較的容易な金属系の鞣し剤を使用する「クロムなめし製法」が、一般的に日本国内、そして世界中で採用されています。しかしMATAGIプロジェクトでは、人にやさしく自然環境にも配慮した植物タンニン100%の「ラセッテーなめし製」のみ採用し獣革としています。動物皮本来の風合いと天然皮革に求められる物性を兼ね備え、世界の環境基準にも準拠する皮革素材を生み出す製法のため、完成した獣革は安全に安心してご利用頂ける製品づくりに寄与します。
実際にラセッテー製法を使用した島根県邑智郡美郷町(2011年9月)や岡山県備前県民局(2012年3月)では、一般社団法人日本皮革産業連合会により基準値適合の認定を受けています。

ラセッテーなめし製法

MATAGIプロジェクトが選ばれる理由③

「1枚からなめし加工依頼が可能」で
「10色から選べる本革素材」に!

MATAGIプロジェクトでは、誰でも簡単に獣皮を獣革に出来るようにすることを目指しています。個人・企業・自治体など、どなたでも1枚からなめし加工依頼をして頂けます。また、少しでも獣皮利活用のハードルを下げれるように明瞭な料金体系でご案内しています。

MATAGIプロジェクトが選ばれる理由④

獣皮活用推進に特化した
MATAGIプロジェクト実行委員会による信頼と実績

山口産業株式会社
跡見学園女子大学
マネジメント学部 許伸江ゼミ
一般財団法人 地球・人間環境フォーラム
一般社団法人やさしい革
NPO法人日本エコツーリズムセンター

<役職・職務>
実行委員長
炭谷 茂(一般財団法人地球・人間環境フォーラム 理事長)

副委員長
森 高一(NPO法人日本エコツーリズムセンター 共同代表)
平野 喬(一般財団法人地球・人間環境フォーラム 副理事長)

事務局長
山口 明宏(山口産業株式会社 代表取締役)

獣皮なめし加工依頼方法

MATAGIなめし加工依頼は、一般社団法人やさしい革の運営するWEBショップで、1枚からお申込み頂けます。

申込み手順

  1. まずはMATAGIメンバー登録をしてください
  2. メンバー登録を頂くことで、WEBショップで簡単に獣皮なめし加工依頼をして頂けます
    先払いとなりますので、決済処理まで全てお済ませください
  3. ご依頼後に、依頼分の獣皮を指定場所まで送ってください
    (送料は依頼者様負担)
    *依頼手続きの済んでいない荷物は受け取りません
  4. 他のご依頼分と合わせて100枚ぐらいに達した時点でなめし加工を開始します
  5. 完成後、ご指定住所に発送いたします
    *獣革の完成に約1~2か月程度を要します

対象原皮

  1. 有害駆除により適正に狩猟され、残肉・脂などの適切な下処理のされた「猪・鹿・熊」原皮
  2. 食肉加工所を経て、適切に脂除去のされた畜産「牛・豚・羊・ヤギ」原皮

受入可能な原皮の状態

  • 下処理として残脂・肉片の十分な除去と、四肢・尻尾・頭部の切除が規定通りに為されていること
  • 腐れが無いこと、また天日粉砕塩以外のミョウバンなどで下処理をしていないこと
  • 天日粉砕塩での塩蔵が理想ですが、なるべく新鮮なうちにクール便で送って頂く方法が容易です
  • 充分にノミ・ダニ・ウジや汚れを洗浄し除去できていること
  • 不当な狩猟や動物福祉に反する行為により得た原皮ではないこと

ご依頼のお断り要件

  • 公序良俗の観点から逸脱、または当受託事業のルールを守られていないと判断した場合
  • 原皮下処理が、故意的に未処理や不十分であると判断した場合、また勧告後も不十分な下処理が続いた場合

*万一、受入不可能な原皮が到着した場合は、依頼者様に連絡の上で返送処置をします。その場合、返送に掛かる諸経費(梱包・返送料・返金処理費及び一連の事務手数料)を差し引いてWEB申込費用の返金と原皮の返送をいたします。
(例:猪原皮1枚の場合、税込み3,000円程度(サイズにより異なる)の返送に掛かる諸経費を頂戴いたします)

原皮受入先

※獣皮受入日(火~金曜日の平日のみ *祝日を除く)以外の到着、着払いの荷物は受け取りません

  • MATAGIメンバー登録名で送ってください
  • 獣皮受入日(火~金曜日の平日のみ *祝日を除く)の午前中着に指定の上、依頼者様負担で宅配便またはゆうパックで発送してください
  • 工場への直接持ち込みは出来ません、必ず宅配便で送ってください
  • 万一冷凍の場合は、自然解凍をして受入工場で塩蔵し直しますので、定休日、祝日及び年末年などの休日2日前の平日午前中着となるように送ってください
  • 獣皮の荷口から水や血などが漏れないように送ってください
  • 他の荷物を汚した場合などの賠償責任は、依頼者様または送り主様のご負担となります

なめし方法

  • 植物タンニンによるラセッテーなめし(表皮面、裏面スエードなど使用面の指定は出来ません)
  • 毛皮や太鼓用の皮は、作れません

染色

  • 個体差・年齢・雄雌・生息地また獣皮厚み、原皮下処理状態などの条件により、見本とは異なる色に染まることがあります
  • 染色は、見本の10色から選んで指定いただけます

納期

原皮を受け取り後、通常1~2か月(60日以内を目安)で完成します

注意・確認事項

  • 原皮の状態によっては、変形や染色ムラ、表皮のただれ等の症状が出る場合があります
  • 一度に生産できる数量目安が100枚単位のため、他の依頼者との合計枚数が揃い次第になめし加工を開始します。依頼社ごとの獣皮の目印として、首筋にポンチで穴をあけさせて頂きます
  • 完成時の厚さmmは指定できません。腐れや臭いの原因となる原皮肉面の脂層を除きながら、最大限に皮層が使用できるようにシェービング(裏削り)します。特に獣皮の場合は、個体ごとに完成厚さmmが異なります
  • 加工中にキズは付きません。個体搬送・剥皮・保管状態の不良など、原皮自体の欠陥による製品不良に関しましては、当社では一切の責任を負いません

Q&A

MATAGIプロジェクト実行委員会では、獣革を販売しません。そのため獣皮を買い取ることは出来ません。
獣皮を供給する産地の紹介は、請け負っておりません。

原皮が腐っていると、動物種に関わらず表皮が剥離したりクレーター状に穴が開くなど原形をとどめない仕上がりになってしまいます。
この場合も鞣し工賃は発生してしまいますので、以下の点に注意して、可能な限り新鮮なうちに送って下さい。

  • 剥皮・下処理後、水洗いし、よく水分を切ってクール便で送ること
  • 乾燥保管する場合は、脂や肉を残さないこと
  • 塩蔵する場合は、十分に肉・脂を取り、「天日粉砕塩」を充分に肉面にまぶして、水気を抜くこと(25℃で1か月程度)で常温保管できます
  • 腐れ臭や手で毛が抜ける場合は、危険信号です
  • 冷凍保管→常温に戻した原皮は腐りやすく、再度冷凍をすると表皮繊維が壊れる危険があります

工場へ宅配便で送る際に、原皮を入れた梱包荷口から水気や血が染み出てしまい、他の荷物を汚してしまう事故が多くあります。
万一、他の荷物を汚してしまうと、送り主に賠償責任が発生する危険がありますので、十分に注意して下さい。厚手のビニール袋に入れてきつく口を縛り、ダンボール箱に入れてクール便で送って頂くことをお勧めしています。
なお、工場への持ち込みは如何なる理由に関わらず許可していません。必ず宅配便で送ってください。

当プロジェクトは、継続的かつ広範に日常品・実用品として使用可能な皮革素材とすること目指しております。
また当プロジェクトのラセッテーなめし製法は、毛皮用のなめし方とも異なるため、毛皮生産の対応はいたしておりません。

野生動物であり、また年齢・個体差・性別さらに捕獲時期・方法等、通常の牛や豚皮等と同じレベルの完成期待は正しくありません。キズや個体差を差別化要因として活かして頂くことを推奨しています。